ここから始めよう!初めてのクリスマスローズにおすすめの7種

初心者におすすめのクリスマスローズ7種

初心者におすすめのクリスマスローズ

暑い夏の暑さが落ち着き始めると、次第に始まる秋。
今回は秋から始めるのにおすすめの宿根草をご紹介したいと思います。それは、キンポウゲ科の『クリスマスローズ』です!

クリスマスローズといえば、よく園芸店やネットなどで様々な種類を見かけると思います。
一重咲き、八重咲き、白、赤系、黒、、から、ニゲルなどの名前の付いたものなど、、何を選んだらいいか、わからないですよね。

マニアも多く、奥深い魅力的なクリスマスローズの世界。多種多様なクリスマスローズの中から、初めての方に選んでほしい品種を厳選して、クリスマスローズ専門家兼グリーンアドバイザーの山田がご紹介します。ぜひご覧ください。

目次

  1. 初心者におすすめのクリスマスローズ7種
  2. 初めてのクリスマスローズの選び方3か条
    1. ①健康的な株を選ぶこと
    2. ②強健な種類を選ぶこと
    3. ガーデンハイブリッド(実生)とは?
    4. メリクロン(組織培養)とは?
    5. ③信頼できる園芸店で購入すること
  3. ここから始めよう!初めてのクリスマスローズにおすすめの7種
    1. H.ニゲル(H.niger)
    2. ”ピンクフロスト”(H×ballardiae)
    3. “プチドール”(H×hybridus)
    4. “ウィンターシンフォニー”(H×hybridus)
    5. オーレア交配(H×hybridus)
    6. “Ice’N roses(氷の薔薇)”(H×glandorfensis)
    7. 無名の交配種(H×hybridus)
  4. まとめ

初めてのクリスマスローズの選び方3か条

クリスマスローズの選び方

初心者はどんなクリスマスローズを選べば失敗が少ないのでしょうか?せっかく購入し、かわいがって育てているのに枯らせてしまったら悲しくなりますよね。そんな思いをしないためにも、筆者が考える「初めてのクリスマスローズ」の、間違いのない選び方には以下の3つが上げられます。

1. 健康な株を選ぶこと
2. 強健な種類を選ぶこと
3. 信頼できる園芸店で購入すること

もちろん、ご自身が気に入ったクリスマスローズを買うのが一番なのですが、上記3点を念頭に置きつつ選ぶことができれば、初めてでも上手に育てられるはずです。どういうことなのか、詳しく見てみましょう。

①健康的な株を選ぶこと

クリスマスローズの選び方1:健康的な株を選ぶ

当たり前の話かもしれませんが、失敗しないためには「健康そうな株を選ぶ」というのが大前提です。初心者がクリスマスローズを枯らせてしまう理由は、育て方が悪いのではなく「最初から弱かった」ケースが往々にしてあるのです。根鉢がしっかりと張り、葉に病変がなく、見るからに活き活きとしたものを選ぶようにしましょう。(趣味家は、弱くて枯れそうな苗でも希少性を重視することもありますが、それはまた別の話です)

お店でセールになっているとつい飛びつきたくなってしまいますが、ポットを持った時に、スカスカな感触がしたら根腐れを起こしているかもしれません。健康なクリスマスローズは根がしっかり回っており、ポットを持つと根鉢が硬く張っています。いつまでも売れ残って苗が劣化したものは、自宅で植え替えなどして環境が変わると、体調を崩して枯れてしまうことがありますので注意しましょう。

②強健な種類を選ぶこと

クリスマスローズの選び方2:強健な種類を選ぶこと

遺伝的に強い品種を選べば、初心者でも上手に育てることができます。耐暑性、耐病性に優れていれば、庭植えにしても、鉢植えにしても、初心者でもさほど気を使わずに育てることができますよ。ではどんなクリスマスローズが遺伝的に強いのでしょうか?

「初めてのクリスマスローズにおすすめの品種」を紹介する前に、基礎知識として知っておきたいのが、クリスマスローズには「ガーデンハイブリッド(実生)」と「メリクロン(組織培養)」2種類の増殖方法があるということです。

「ガーデンハイブリッド(実生)」と「メリクロン(組織培養)」どちらにもそれぞれよい点がありますので、特徴を見てみましょう。

ガーデンハイブリッド(実生)とは?

ガーデンハイブリッド(ヒブリダス)とは、皆さんがよく目にする、白やピンクといった色とりどりのクリスマスローズ(園芸交配種)のことをいいます。実生とは、めしべにおしべの花粉を付けて種子を作り、種まきする生産方法です。今世の中にあるクリスマスローズのほとんどが実生で作られています。

一重、八重、赤・白・黄色…という見た目のバリエーションだけでなく、プロは耐病性、耐暑性、耐寒性といった育てやすさも考慮して育種します。品種間交雑による、いわゆる「雑種強勢」の理で、自生地に生える原種よりも、ガーデンハイブリッドのほうが、ずっと強健で枯れにくくなっています。
交配により生まれる花は、全く同じものは存在しないのがメリットでもあり、デメリットでもあります。それを知らないで実生苗を小苗で購入してしまうと、数年育ててやっと咲いたのに「ラベルと花が違った」というトラブルになりかねませんので、初心者は開花株でしっかり花を見てからの購入をおすすめします。

メリクロン(組織培養)とは?

一方、「メリクロン」とは、植物の生長点を採ってフラスコ内で増殖させる、いわゆるクローン技術の生産方法です。上記の「実生」で生まれたクリスマスローズの中から、容姿端麗で、病気に強く強健な個体を選抜した、エリートのクリスマスローズの「クローン個体」です。当然ながら、育ちにくいものは選抜しませんので、初心者でも気負わずに簡単に育てられる品種ばかりです。

クリスマスローズのメリクロン業者は、そんなに多くはないのですが、ドイツ「ホイガー社」の“HELLEBORUS GOLD COLLECTION(略してHGC)”や、山梨県の種苗会社「ミヨシ」などで作られています。クローンなどというと自分には縁がないように感じてしまいますが、実は園芸店やホームセンターに並んでいるので、皆さんも知らぬうちにご覧になっているのではないでしょうか。

一般的に山野草のように弱いとされる「クリスマスローズの原種」であっても、強い個体を選抜したメリクロンなら、初心者でも育てやすくなっています。選べる品種は少ないですが、メリクロンなら小苗で購入しても、ラベルと同じ花が咲いてくれます。「咲いたらラベルと花が違った」などというトラブルにはなりません。同一個体が何ケースも存在しますので、アプローチの花壇に(まるでチューリップかなにかのように)同じものを並べて植えるようなデザインも可能となります。

③信頼できる園芸店で購入すること

意外と盲点なのが「どこで購入するか」です。最近ではインターネットの普及により、プロ意識の少ない人物が、クリスマスローズの販売をするケースが目につくようになりました。オークションやフリマアプリなどは実に楽しいものですが、正規の園芸店なら絶対に販売しないような、劣悪なクリスマスローズが出品されていることもあります。

儲けを出すため、必要以上に株分けして切り刻んだ結果、根っこが数本しかついていないひ弱な苗が出品されているケースも見受けられます。このような苗だと、初心者はすぐに枯らせてしまうかもしれませんので注意しましょう。初めてのクリスマスローズは、信頼できる園芸店から求めるようにしてくださいね。

ここから始めよう!初めてのクリスマスローズにおすすめの7種

初心者におすすめの種類を7つご紹介いたします。見た目も美しく、育てやすい種類を選びました。こちらの記事の表記ですが、「H.」が付いているものは原種、「“”」で囲われているものは商品名、「()」内に書かれているのは、交雑の表記となります。
例えば、『(H×hybridus)』は、Helleborus(クリスマスローズの学名)のhybridus(雑種)という意味です。クリスマスローズを育てていると、学名に触れる機会が多くなりますので、知的好奇心が刺激されますね!

H.ニゲル(H.niger)

初心者におすすめのクリスマスローズ:H.ニゲル(H.niger)

※H.ニゲルは、クリスマスローズの名前の由来になった伝説の花。

H.ニゲルは、クリスマスローズの原種のひとつで、清楚で肉厚の白い花は「クリスマスローズ」の代表的なイメージそのものです。
楚々と咲く姿は、冬の澄んだ空気によく映え、シンボルツリーの株元に植えても、鉢植えにしても、清しい風情を醸し出します。他のクリスマスローズに比べ、早い時期に咲くことが多く、うまくいけばクリスマスやお正月の時期に咲いてくれるかもしれません。

ただし、H.ニゲルは原種なので、実生だと夏の暑さにやや弱いかもしれません。ホイガー社のH.ニゲルのメリクロン“HGCパウロ”や、“HGCフォーエバーエンジェル”、八重咲きのニゲル“HGCツインスピリッツ”などの強健なメリクロン商品を選ぶのも一つの方法です。

”ピンクフロスト”(H×ballardiae)

初心者におすすめのクリスマスローズ:”ピンクフロスト”(H×ballardiae)

※“HGCピンクフロスト”は何とも言えないアンティークカラーが大人の乙女心をくすぐります。

画像の花は、クリスマスローズのH.ニゲルとH.リビダスを親に持つバラーディアエという品種の一つで、商品名は“HGCピンクフロスト“です。異種間交雑種なので、強くて育てやすい特徴があります。H.バラーディアエは、クリーム色から始まって、咲き終わりには、冬の寒さで濃いピンク色に染まっていきます。咲き初めと咲き終わりで色味が変わるので、大株になると一株で混色になり、大変見事ですよ。

バラーディアエにもメリクロン品種があり、「HGCピンクフロスト」や「HGCスノーダンス」が初心者でも育てやすいと人気です。特に「ピンクフロスト」は昔からファンが多く、玄関に植えればシンボルツリーならぬ「シンボルフラワー」になること間違いなしです。

“プチドール”(H×hybridus)

初心者におすすめのクリスマスローズ:“プチドール”(H×hybridus)

※小輪多花性で細葉が風流な横山園芸の“プチドール”。

横山園芸作の“プチドール”シリーズは、原種デュメトラムの血を濃く引く小輪多花性で、和の雰囲気もあり、人気の品種です。白、ピンク、グリーンなど色も豊富です。矮性で大きくならないので、ベランダなどで、鉢植え栽培したい方にも向いています。

横山園芸の若きリーダー、横山直樹氏は、世界最高峰のクリスマスローズ農家である英国アシュードナーセリーで修業を積み、日本のクリスマスローズをけん引してきたトップランナーです。園芸のテレビ番組や雑誌などのメディアにもよく登場するので、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

“ウィンターシンフォニー”(H×hybridus)

初心者におすすめのクリスマスローズ:“ウィンターシンフォニー”(H×hybridus)

※“ウィンターシンフォニー”はふっくらとして形がよいものが多いのが特徴。

“ウィンターシンフォニー”は、山形県のナーセリー「堀切園」樋口氏作出の、クリスマスローズのシリーズ名です。樋口さんが交配、選抜した花は、どの花も形がよいと定評があります。“ウィンターシンフォニー”は、クリスマスローズに力を入れている園芸店で購入することができます。ウィンターシンフォニーを小輪、矮性化した“スウィングシリーズ”も人気がありますよ。

オーレア交配(H×hybridus)

初心者におすすめのクリスマスローズ:オーレア交配(H×hybridus)

※オーレア交配の一例。

今、一番売れているクリスマスローズは、「オーレア交配」です。オーレアとは直訳すると「黄金」のことで、クリスマスローズのオーレアは、蛍光色のような鮮やかなイエローの花色が特徴です。(ちなみにクリスマスローズに限らず、様々な植物の黄変や黄斑入りの品種をオーレアと呼びます)

これらオーレアのクリスマスローズを交配に使うことにより、ひと昔前はくすんだ花色ばかりだったクリスマスローズが、黄色の絵の具を混ぜたようにパッと明るくなり、クリアな花色になりました。冬のお庭を明るくしてくれますので、庭植えでもいいですが、おしゃれなテラコッタの鉢に寄せ植えにしてもかわいいですよ。オーレア交配は、山梨県の広瀬園芸や、埼玉県の加藤農園をはじめ、多数の農家で作られています。

“Ice’N roses(氷の薔薇)”(H×glandorfensis)

初心者におすすめのクリスマスローズ:“Ice’N roses(氷の薔薇)”(H×glandorfensis)

※両手で抱えきれないくらい立派なサイズの“Ice’N roses メルロー”

“Ice’N roses(氷の薔薇)“は、先にご紹介した独ホイガー社で、比較的新しく売り出されたシリーズです。原種のH.ニゲルとH.アトロルーベンスの異種間交雑種H.グランドルフィのメリクロンで、アーリーレッド、アーリーローズ、ピコティ、ホワイト、ブルネッロ、メルロー他、新商品もどんどん追加され、カラーバリエーションも豊富に揃っています。

“Ice’N roses”の最大の特徴は、従来のクリスマスローズより強健、勢力旺盛な大型種であることです。花茎が上がると背が高くなり、大きな花がシーズン中、切れ目なく咲いてくれるので、大変見事な株立ちになるでしょう。庭植えはもちろんのこと、鉢植えなら10号以上の鉢で大きく育てましょう。存在感があり、玄関アプローチがゴージャスになること間違いなしです!見栄えがするので商業施設などにもおすすめですよ。

無名の交配種(H×hybridus)

初心者におすすめのクリスマスローズ:無名の交配種(H×hybridus)

※似た花はあってもふたつとして同じものはない、クリスマスローズ交配種の魅力。

皆さんの気に入る花が、名前がついている銘花とは限りません。クリスマスローズ交配種のほとんどには名前がついていないので、オンリーワンの「名もなき花」の中に、おすすめの花があるかもしれませんね。H×hybridusは、犬、猫でいうところのMix(雑種)ですが、hybridusの中にお宝があります。

「明るい色が好き」「渋い色が好き」「ゴージャスで目立つようにしたい」「和風の鉢でワビサビを追求したい」などなど、お好みに合わせて選べるのがクリスマスローズのよいところです。普段からお店やSNSをチェックして、どんなクリスマスローズがあるのか、シーズン前に審美眼を鍛えておくのもよいでしょう。

まとめ

「初めてのクリスマスローズにおすすめの7種」を長々と書いてきましたが、一番大切なのは、やはりご自身のファーストインプレッションです。専門家の解説や商戦により押し着せられた花を選ぶより、ご自分が一目ぼれした花を選ぶのが一番よいと思います。
信頼できる園芸店で、健康的で強い品種、さらに開花株で選べば、ある程度大きくなっているのですぐに枯れてしまうことはありませんので、初心者でも育てることができるでしょう。

気に入って連れて帰ったクリスマスローズなら、花を見るたびに、わくわく幸せな気持ちになりますよね。マニアになると、気に入った花を前に、晩酌する方もいらっしゃるんですよ。冬になると、クリスマスローズシーズンのはじまりです。皆さんに、素敵なクリスマスローズとの出会いがありますように・・・

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この記事のライター

クリスマスローズ専門家兼グリーンアドバイザー 山田

クリスマスローズ専門店「冥王堂」店長。 家庭園芸普及協会グリーンアドバイザー。「クリスマスローズの世界展」にて特別賞・ミヨシ賞の受賞実績あり。ウェブサイトにて植物図鑑の執筆のほか、YouTubeチャンネルで園芸講師も担当。NHK出版など園芸専門誌にも多数取材協力を行う。現在は社会貢献のために行政の里親認定を受け、虐待保護児童の社会的養育にも注力する。

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