犬のためのハーブ
犬のためのハーブ

「犬にとって蚊やダニは一番の大敵!」
ペット関係の仕事をする友人の言葉です。
フィラリア症、バベジア、皮膚炎、どれも虫が原因になります。
いくら予防薬を飲んでいると言えど、出来る限り虫から守りたい。
飼い主さんたちは皆、そう思っているのではないでしょうか。
そこで今回は、多いときは実家で5匹の犬を飼っていた筆者の体験談を含め、犬のためのハーブをご紹介します。
目次
ペニーロイヤルミント
ペニーロイヤルミント:学名に「ノミの毒」の名を持つミント

ノミ除けとして有名なのがペニーロイヤルミントです。
ヨーロッパでは家畜の下に敷くわらに混ぜて、ノミ除けにしていたと言われています。
グランドカバーにもなるペニーロイヤルミント。
お庭の一画に敷き詰めたペニーロイヤルミントの上で、時々わんちゃんがごろごろ背中やお腹をつけて遊んでくれると虫除けもかねて良いかもしれません。
お庭の入り口や玄関までのアプローチなど、わんちゃんが散歩帰りの通り道にグランドカバーにしておけば、室内への虫の持ち込みも減るのではないでしょうか。
また、収穫した葉を乾燥させ、細い布袋に入れてノミ除けの首輪を作ることができます。
小さなサシェを首輪やお洋服につけても良いでしょう。
口に入るとよくないので、つける位置は口に入らない場所を選びます。
また、ポプリを布袋に入れたものをクッションに入れたり、食器棚や食品庫において虫除けにすることもできます。
ペニーロイヤルミントの育て方

ペニーロイヤルミントは水はけの良い土を好み、日向から半日陰で育ちます。
匍匐性で横に広がるのでグランドカバーに適しています。
踏みつけに強く、寒さにもわりと強いので手間がかかりません。
霜が降りるような地域では葉が黄色くなったり枯れたりしますが、根は生きているので春になるとまた芽が出ます。
7月から9月にかけての花の時期は、茎が30cm程度立ち上がり、ポンポンのようなはピンクの花をつけます。
他のミントに比べると成長が遅いですが、広がりすぎるのが気になる場合は地中に板で仕切りをするか、プランターに植えて玄関の手前に置いておくのがのがおすすめです。
広がりすぎる場合は剪定します。
花の後も蒸れ防止のため、花柄を剪定するとよいでしょう。
ノミのほかにアリやカメムシ除けにも効果があると言われています。
ハーブティーにもできますが、飲用する場合禁忌事項の多いハーブなので、観賞や虫除けで使用することをおすすめします。
タイム
タイム:虫除けと空気の清浄のハーブ

「この辺りは海辺で田舎で、虫が多くて強いよね」
というのが、実家の犬たちの通う動物病院の先生の言葉でした。
筆者の実家は海辺のものすごい田舎にあります。
藪のような草むらが多く、年に1~2回ダニがくっついていることがありました。
そこで、蚊とダニの防虫効果があると言われているのタイムの登場です。
実家は道路から玄関までのアプローチはほぼコモンタイムでした。
手がかからないから、と植えたタイムでしたが、虫除け効果があると知って喜びました。
寒さに強く、乾燥気味を好むというコモンタイムは育てやすい!
基本的にほったらかしです。
我が家の犬たちは散歩に行くときも帰るときもタイムの中を通っていきます。
散歩に行く前に、タイムの香りをまとって出ていき、帰ってきたらまたタイムの間をすり抜けて帰ってくる。
どれほど効果があったか分かりませんが、出来ることを少しでもしてあげたい!と思う飼い主さんにはおすすめです。
さらに!
犬を飼っていると気になるのが家の匂い。
来客時に気になったことはありませんか?
来客前に、鉢植えにしたタイムを玄関の中に置いて葉を手でわしゃわしゃこすって香りを出して置けば、殺菌消臭作用を期待できます。
タイムの育て方

タイムは寒さに強いものが多く、水はけのよい土を好みます。
コモンタイムなどは高さが30cmほどになりますが、匍匐性のクリーピングタイムは高さは10㎝前後で横に広がります。
乾燥気味を好み、蒸れに弱いので、梅雨の前に剪定するとよいでしょう。
種類にもよりますが、春から夏にかけて花を咲かせます。
花の後に、花柄を剪定すれば蒸れ防止になります。
玄関までのアプローチにタイムを植えるなら、コモンタイムと斑入りのシルバータイムを組み合わせると明るくかわいいイメージになります。
クリーピングタイムをグランドカバーにするなら、玄関まわりや飛び石の隙間にもおすすめです。
タイムは蚊避け、ダニ除けのほかにゴキブリ除けに効果があると言われています。
わんちゃんのためにお庭や玄関に植えて置けば、ゴキブリ対策にもなっていいですよ!
ラベンダーグロッソ
ラベンダーグロッソ:虫除けとリラックスのハーブ

虫除け効果もあり、開花期の見た目がよいラベンダーグロッソはおすすめのハーブです。
ラベンダーは蚊、ダニ、ノミ、ハエの防虫効果があると言われています。
成長はゆっくりですが、数年でなかなか見ごたえのある株に育ちます。
花が咲く時期は、ボリュームもでて目をひきます。。
これが虫除けになるならこんなに素敵なことはありません。
しかも、リラックス効果も高いのは私たちだけではなく、わんちゃんたちも同じだそうです。
ペット関係の仕事をしている友人は、自分の飼っていた犬の介護の時期に、少しでもリラックスしてもらえるようにとラベンダーとカモミールのアロマオイルで作った温湿布をしてあげていたそうです。
アロマオイルを使わなくても、お庭のラベンダーやカモミールで濃いめのハーブティーを作り、タオルに浸して絞り、温湿布を作ることができます。
それで湿布してあげたり、散歩帰りの足を拭いてあげたりしたら気持ちよさそうにするだろうな、と実家の犬を思い出すとつい口元がほころんでしまします。
ラベンダーグロッソの育て方

ラベンダーグロッソは、暑さにも寒さにも強く、虫も付きにくいので育てやすいハーブの1つです。
筆者の働いていたハーブガーデンは影もないような日当たりの良い場所で、夏の炎天下ではかなりの暑さでしたが、そんな環境でも元気に育っていました。
多湿には弱いので、花が咲いたら収穫を兼ねて剪定します。
どうしても風通しが悪い場所や水はけが悪い場合は、畝のように土をもって高さを出して苗を植えると良いでしょう。
小さな苗を植えたその年は、収穫を兼ねた剪定程度で大丈夫ですが、株が大きくなってきたら、2年に1回は冬の前に高さの半分くらいに切り戻します。
ジャーマンカモミール
カモミール:ノミによる皮膚炎の鎮静に

ノミなどによる皮膚の炎症をおこしたわんちゃんにおすすめなのがジャーマンカモミールです。
ジャーマンカモミールには炎症を抑える効果があるといわれています。
人にとってもジャーマンカモミールのハーブティーは胃腸の不調やのどの痛みに、入浴剤は乾燥肌によるかゆみに良いとされてきました。
わんちゃんの皮膚の炎症には、濃いめに作ったハーブティーを冷やして、タオルやコットンに浸して患部にあてるとよいでしょう。
病院でお薬をもらっている場合は、主治医の先生に併用しても良いか確認してくださいね。
*カモミールはキク科の植物なので、キク科のアレルギーをもつワンちゃんや人には使用しないでください。
ジャーマンカモミールの育て方

ジャーマンカモミールは一年草のキク科のハーブです。
高さは30~50cm程度になります。
蒸れに弱いので、風通しの良い場所に植えると良いでしょう。
5月から7月に白い花弁の小さな花をつけます。
ジャーマンカモミールはこの花を使います。
黄色い花芯の部分が盛り上がってきたら収穫時です。
花を1つずつ収穫して、すぐに使わない場合はしっかり乾燥させて保存します。
まとめ

犬のためのハーブ、いかがでしたでしょうか。
家族の一員であるわんちゃんのために、ハーブを植えてみませんか?
わんちゃんから虫を遠ざけるハーブ、わんちゃんを癒してくれるハーブ。
きっと気持ちのこもった素敵なお庭ができあがるはずです。
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この記事のライター
ハーブ園でハーブコーディネーターとしての働いた経験をいかしてガーデンライターに。
転勤族でお庭が持てないが、めげずにベランダでハーブを栽培中。
好きなハーブは香りのよいグロッソラベンダー。