9年付き合って分かった常緑樹シマトネリコの性格と育て方
無知と勘違いから始まった常緑樹シマトネリコの育て方
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「常緑樹って、常に緑があるって事だから、落ち葉も無くて育て方が楽そう!」と、シマトネリコに対して前向きな勘違いをしていた私。
しかし、家が完成し生活が落ち着いた頃、お庭のシマトネリコの葉がチラチラ落ちている事に気が付きます。
掃除をしなくてはいけない面倒臭さと同時に、病気だと思った私は、造園屋さんに相談したのですが、そこで衝撃の真実を知らされました。
「常緑樹シマトネリコも落葉をする」という事実を!
大きな勘違いに気が付いた私は、シマトネリコについて自分がどれだけ無知であったかを自覚しました。
そこからシマトネリコの育て方について学び始めたのです。
しかし、ネットの情報はバラバラで行動に移せずにいました。
そんな時に、頼りになったのが造園屋さんでした。
アドバイス通りにお手入れしていくと反応が見えるようになり、だんだん楽しくなっていったのです。年数がたてば愛情も湧いてきて、掃除が面倒だと思っていた落ち葉さえ、今では愛おしく感じています。
シマトネリコとのお付き合いが始まって9年が経ちました。
シマトネリコの育て方を、どのようにして楽しい作業として取り入れられるようになったのか、私が行ってきたシマトネリコの育て方をご紹介します。
この記事は、お忙しい方のために
目次の見出しを追うだけでも内容を理解できるようにしています。
詳しく知りたい方は、このまま読み進めていただくか
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目次
シマトネリコを植えた理由
植栽するのが前提だったシマトネリコ

※画像提供:SINKENSTYLE
わが家の工務店さんは「ふだんをいちばんの幸福に」というコンセプトの基に、家だけでなく外構まで含めたコーディネートを行い、植栽にも役割を持たせた家作りをされています。

※画像提供:SINKENSTYLE
見学会に行くたびに、目隠しや夏には陰を作ってくれる役割をしているシマトネリコ。
サラサラとした爽やかさがありつつも、スタイリッシュでカッコ良かったです。
主張しすぎない軽やかな雰囲気も素敵でした。
ほとんどの御宅でシマトネリコは植栽されていたので、シマトネリコは植栽するのが前提で植栽しないという選択肢はありませんでした。
造園屋さんからのアドバイスと実践した事①
酸素不足のシマトネリコに酸素を送ろう

落葉するシマトネリコを、病気だと勘違いした所から始まったシマトネリコの管理ですが、造園屋さんに見て頂いたところ、少し落葉し過ぎているようでした。
原因は、シマトネリコを土に埋め過ぎとの事でした。
植栽する時は、雨などで土が流れることも考えて多めに土を盛るらしいのですが、想定よりも土が流れず深植えのままになっていたようです。
深植えだと何が悪いのか。

当時、造園屋さんから頂いたプリントです。
空気中と土の中の二酸化炭素濃度を比べると、土の中の二酸化炭素濃度が圧倒的に高く酸素が少ないらしいのです。
種類によっても根が求める酸素の量は違うのですが、酸素不足のサインとしてシマトネリコはいつもより多めに落葉をしていたようでした。
幹周りの土を取り除いてみる

直ぐに対処できる事として、シマトネリコの幹周りの土を取り除く事を勧められました。
少しでも幹を空気中に出して、空気中からの酸素を吸わせてあげる作戦です。
周辺の常緑樹も含め数本行ったのですが、正直、半信半疑でした。
だって、本当に土を取り除いただけなのですから。
しかし、その後、明らかにシマトネリコの落葉の量が減りました。
パラパラパラっと落ちていた葉が、パラっという感じ。

幹の周りの土を取り除いただけだったのに、落葉が減った事で手応えを実感できました。
「こんなに直ぐに改善されるんだ・・・。」
それまでは、シマトネリコを植えれば勝手に大きく育っていくというイメージしかなくて、シマトネリコが大きくなった時の剪定だけを心配していましたが、シマトネリコを含め敷地内の植栽管理という事を前向きに考えるようになったキッカケになりました。
造園屋さんからのアドバイスと実践した事②
シマトネリコの理想の大きさをイメージしよう

酸素不足が解消し生き生きし始めたシマトネリコは、幹が伸び葉は茂っていき順調に成長していきました。しかし、生き生きしているという事は、1年で50~60cm伸びてしまうシマトネリコなら、あっという間に大きくなってしまいます。
シマトネリコが大きくなり育て方に苦労された知人は、根元から切ってしまいました。
シマトネリコを切る事はしたくない、でも大きくなったら困る。
そんな悩みを造園屋さんに相談すると、「シマトネリコは、確かに放っておいたらどんどん大きくなるよ。でも、この位の高さで良いって所の幹の部分でカットすれば、その辺りで高さをコントロール出来るんだよ。」と言われました。

「芯止め」と言い、成長が強い幹の上部を切り落として、成長の勢いを緩やかにする剪定方法です。
という事は、シマトネリコの高さはコントロールできるって事です。
「えっ!そんな事、どこにも書いてないし誰からも聞いた事ない!」
シマトネリコがジャック豆の木みたいにどんどん大きくなったらどうしよう、と思っていたので、急に気が楽になりました。
わが家のシマトネリコは、どの位のボリュームが良いのか、どの位の高さなら家とのバランスが良いのかなど、私達の理想と造園屋さんとのアドバイスのちょうど合致する良いところ探しが始まりました。
シマトネリコがすでに高過ぎて造園屋さんに依頼する

道路沿いにあるわが家のシマトネリコは7mの高さまで成長していました。
1m弱の脚立に立っても届きません。
わが家のシマトネリコの隣にはモミジとモッコクが並び、目の前にはシンボルツリーの桂があるので、桂を頂点とした高さのバランスも大切です。
この4本をまとめて、造園屋さんに剪定をお願いする事にしました。
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高さ7mのシマトネリコ。
目隠しと陰を作る役目は完璧だったのですが、シマトネリコ本来の爽やかさは無くモサモサしています。
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高さを6mに下げ、ボリュームを調整したシマトネリコ。
すっぽり隠れていた衛星放送用アンテナが、綺麗に見えるようになりました。
シマトネリコ本来のサラサラとした爽やかさが戻ってきて、シンボルツリーの桂を頂点として右に緩やかに下がっていく感じも素敵です。
モサモサしていた時のシマトネリコも、目隠しと陰を作ってくれて私的には完璧だったのですが、剪定されたシマトネリコを見ると、明らかにシマトネリコ本来の良さが引き出され美しいです。
また、高さとボリュームを抑えたことで、風通しが良くなり中心部の葉にも日光が当たるようになりました。
植栽時のシマトネリコの高さは3mだったので、8年で4mも伸びていました。
家や桂とのバランスで、わが家のシマトネリコの高さは6mを目安に管理する予定です。
1年毎の剪定依頼は予算的に難しいですが、数年毎なら可能かな、と考えています。
わが家よりも低い高さでシマトネリコを維持されたい方は、造園屋さんに依頼しなくてもご自分で剪定が可能ですよね。
シマトネリコの高さは、おおよその目安を決め管理していけば、高さをコントロールできる常緑樹なのです。
造園屋さんからのアドバイスと実践した事③
透かし剪定を勧められる

消毒にいらっしゃる造園屋さんに、シマトネリコの枝が込み合い過ぎてどうしたら良いのか分からないとご相談した事があります。
その時に薦められたのが「透かし剪定」でした。

透かし剪定は、1枚1枚の葉に十分な日光が当たるようにする剪定方法です。
幹が伸び枝葉が茂れば、密になります。
密になれば、蒸れたり虫の居心地の良い住処になり病気の発生に繋がります。
透かし剪定は、害虫や病気の予防にもつながる作業なのです。
透かし剪定ポイント
・内側に伸び込み合っている枝を、枝元から数本ずつ剪定する事
・剪定時は、シマトネリコとの距離が近過ぎて全体像が見えないので
数本ずつ剪定する度に、シマトネリコから離れてバランスを見る事
・幹の途中では切らない事
・剪定後は切口に癒合剤を塗布する事
迷いながら剪定したのは一年目だけ

造園屋さんと話している時や造園屋さんに実演を見せて頂いている時は「これなら出来そう!」と思うのです。
しかし、いざ1人でシマトネリコの前に立ち、鋏を入れようと思うとかなり迷いました。
これまで、木の剪定なんてしてきた事がないので当然ですよね。

造園屋さんの実演を思い出しながら、ドキドキのシマトネリコの剪定を行いました。
シマトネリコの内側や伸びてほしくない方へ伸びている枝を見分け、不要だと思った幹の枝元で剪定します。

シマトネリコは、枝の途中で剪定する事は禁止です。
切口の下から枝が数本出てきて、最終的に茂っていくからです。
伸びてほしくないから剪定したのに、かえってボリュームが出てしまい、理想の形からはかけ離れてしまいます。
1年目はかなり慎重な剪定でした。
シマトネリコの1本の枝を剪定する毎に、離れてバランスを見る。だけど、見ていても、正直よく分からない。(笑) 目安にした枝を確認しながら、再びシマトネリコの前に行くけど、本当に剪定して良いのかまた悩む。そして、心に踏ん切りがついたら切る。
この繰り返しでした。
剪定後も、切口から枯れていないかと、何度もシマトネリコの様子を見に行きました。
しかし、2年目3年目と経過していくと、私の剪定でもシマトネリコは枯れる心配がない事と徐々に剪定にも慣れていきました。
もちろん、失敗もありました。
素人でも分かるような明らかに剪定してはいけない枝を剪定し、ポッカリと空間が出来た事もあります。
でも、失敗した事でシマトネリコの剪定するべき枝の見分けも出来るようになり、失敗した所は、今はどこだったか分からない位に枝と葉が茂っています。
造園屋さんからのアドバイスと実践した事④
寒さ以外には本当に強いシマトネリコ
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素人の透かし剪定をものともせず、グングン成長していくシマトネリコ。
夏は日差しを遮り、目隠し代わりにもなってくれて、常緑樹シマトネリコの恩恵を存分に受けていました。
しかし、5年前の2月、南国鹿児島を寒波が襲った時の事です。
鹿児島では珍しく多めの積雪もあり、街中真っ白になりました。
その2日後に晴天になり雪は溶けてしまったのですが、シマトネリコの葉は、ねずみ色に変色し形も縮んでいました。
シマトネリコが明らかに弱っている。
造園屋さんに慌てて相談すると「今回の寒波で、どの御宅のシマトネリコもやられたみたいですね。シマトネリコは南国の樹木だから雪には弱いんだよね。葉っぱは枯れていると思うので、手が届く所だけで良いので取って良いですよ。暖かくなってくれば新芽が出てくるので大丈夫です。シマトネリコは、そんなに弱い常緑樹ではありませんから!」と、力強い言葉を頂きました。
積雪の朝はシマトネリコの幹を揺らして雪落とし

シマトネリコを我が子のように感じ始めていた私。
造園屋さんが言われたように、暖かくなってきたら新芽が出てきて見事に復活しましたが、その間は、ねずみ色に変色し縮んでしまったシマトネリコの葉が視界に入る度に、本当に大丈夫なのか不安でいっぱいでした。
そして、私に何か出来た事はなかったのか考えるようになりました。
思いついた策が「シマトネリコの幹を揺らして雪を落とす作戦」でした。
街中が雪で真っ白という経験が少ないわが家は、雪を長く楽しむために、雪が止んでもそのままの景色を楽しんでいました。
しかし、シマトネリコには辛い時間です。
雪を避ける事は出来ないけど、幹を揺らす事で、シマトネリコの葉に積もった雪を落とし、雪にさらされている時間を少しでも短くしよう、という作戦です。
昨年の2月の積雪時、楽しい遊びが出来るよと子供に声をかけ、早朝から敷地内にある3本のシマトネリコのもとへ向かいました。幹を揺らせば葉に積もった雪が一気に落ちてきて、子供は大喜び。揺らす私も雪だらけ。
シマトネリコの育て方には、このように楽しめる特典も付いています。
造園屋さんからのアドバイスと実践した事⑤
常緑樹シマトネリコの本当の姿を理解しよう

わが家がお付き合いしている造園屋さんは数人いらっしゃいますが、どなたもシマトネリコだけでなく他の木に対しても同様に目を配ってくださり、真摯に木と向き合っている姿が素敵な方達ばかりです。
作業中などでも、木の特性の話しや私でも出来る育て方や見方を教えて下さり、放任すれば大きくなるシマトネリコもコントロールできる事を教えて頂きました。
木に対して、どっしり構えている姿は、アタフタしている私の心を穏やかにしてくれます。
常緑樹だから落ち葉は無いなんて、もう言いません

木の専門家である造園屋さんに悩みを相談し解決できていった事が、途中で諦めずにシマトネリコの育て方に向き合えた要因だと思っています。
知識が皆無でネットだけの情報に頼っていたら、情報に疲弊してシマトネリコの管理は諦めていたでしょう。
経験者の話は具体的です。
具体的なシマトネリコの育て方だったからこそ、行動にも移しやすかったです。
また、流行や薦められるままではなく、お庭に迎える際にシマトネリコの事を学ぶことも必要です。
私は自分が見た事でしか判断していなかったので、常緑樹は落ち葉がないなんて勘違いをしていました。
そして、シマトネリコがシマトネリコらしくいる為には、ある程度の高さも必要という事や狭い土地にシマトネリコを植栽する際には、大きさをコントロールするために剪定などを行っていくという覚悟も必要だということです。
常緑樹シマトネリコに寄り添う気持ちが大切です

ダイナミックでサラサラと爽やかな印象のシマトネリコ。
シマトネリコは「芯止め」や「透かし剪定」を取り入れれば、大きさをコントロールすることが出来て、みなさんのお庭に調和した常緑樹シマトネリコの姿を眺めることが出来るでしょう。
また、成長が早く寒さ以外には強い常緑樹なので、無理な剪定をしなければ枯れる心配はありません。
「大きくなるけど、どうしたら良いの?」という不安しかなかった私ですが、経験を重ねて心に余裕が出来た事で、シマトネリコを可愛い我が子のような感覚で育て方を楽しめるようになりました。
みなさんもシマトネリコに手をかければ、希望される高さやボリュームを維持することが出来て、我が子同然の愛情を注ぐことが出来るようになるでしょう。
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この記事のライター
九州在住のガーデニングライター
家作りをきっかけに庭管理を始めて12年。
関わってきた時間の分だけ、
植物の声が聞こえるようになりました。
子育てと似ていて上手くいかなかったり癒されたり!
難しく考えないで、
気になった植物に寄り添ってみてくださいね☆彡