お庭でできるリンゴの育て方【品種選びのポイントも】
初心者でもできるお庭でリンゴの育て方

シャリシャリとした食感と、みずみずしさが大人気のリンゴ。
カットしてそのまま食べるのはもちろんのこと、ジャム、アップルパイ、パウンドケーキなど、様々な形に加工して楽しむこともできます。
「庭にリンゴの木があったら良いなぁ」と誰もが一度は思ったことがあるはず。
とは言っても、実際育てるとなると、
「どんな品種が育てやすいの?」
「育てるのにどんな管理作業が必要なの?」
などいろんな疑問が出てくると思います。
そこでこの記事では、
・育てる前に知っておきたいリンゴの特徴
・リンゴを育てるために必要な管理作業
をご紹介していきます。
目次
リンゴを育てる前に知っておきたいこと
寒い地域での栽培に向いているが、暖地でも栽培できる

冬の寒さに強く、降雪にさえ注意すれば北海道でも栽培可能なリンゴ。
リンゴの木は、収穫が終わると12月〜翌年3月まで休眠期間に入るのですが、休眠状態から覚めるためには、一定の期間低温にさらされる必要があります。
さらに、リンゴの果皮の色づきにおいても、9月下旬〜10月上旬頃の低温が重要。
これらの理由から、リンゴの栽培は基本的には冷涼な地域が向いています。
リンゴを九州地方などの暖地で育てると、果皮の色づきが悪くなり、果肉が柔らかくなることがありますが、そこにさえ目をつむれば栽培可能です。
また、暖地での栽培に適した品種を選ぶという方法もあります。
おすすめの品種はつがる、ふじ、千秋など。
夏の暑さで木が弱ることがあるので、西日が当たる場所を避けて植え、病害虫対策もしっかりしましょう。
受粉樹が必要。品種ごとの相性にも注意
リンゴは自身の花粉では実つきが悪いので、異なる2品種を一緒に植える必要があります。
受粉樹を植える場合は木同士の距離感を3~5m開ける必要があるので、庭に広めのスペースが必要になってきます。
また、リンゴには品種間の相性の良い、悪いがあります。
そのため、相性が悪い2品種を選んでしまうといつまで経っても実がならないということになってしまいます。
つがる、世界一は、他の品種と相性が悪い品種が少ない(唯一むつとは相性が悪い)ので、受粉樹選びに迷った場合は、この2品種のどちらかを選んでおけば間違いは少なくなります。
庭で育てるなら矮性(わいせい)台木に接ぎ木された苗木を選ぶのがベスト
リンゴの木は樹勢が旺盛で、地植えの場合放っておくと高さが10mほどになり管理が大変になってしまいます。
樹形を調整することで高さを抑えることはできますが、忙しい方から手間はできるだけ増やしたくという方も多いはず。
そんな方は、矮性台木の苗木を選ぶのがベスト。
矮性台木に接ぎ木された苗木は、木の高さが約半分とコンパクトになることから、現在多くの家庭栽培で選ばれています。
実が収穫しやすくスペースをとらないため矮性台木が人気ですが、木の高さを利用してシンボルツリーにするという考え方もあります。
どちらにするかはそれぞれのご家庭の考え方次第ですが、リンゴを家庭の庭でコンパクトに育てたい方なら、矮性台木の苗木を選ぶのが良いでしょう。
リンゴの栽培カレンダー

リンゴの管理作業は一見多そうに見えますが、1つ1つがそれほど時間がかかるものではありませんので、忙しい方でも育てることができます。
ここからは、栽培カレンダーに沿ってリンゴの管理作業の手順・ポイントを1つずつご紹介していきます。
リンゴの育て方①:基本作業(通年)
水やり
・鉢植えの場合
水やりのタイミングは、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらいまでたっぷり水をあげましょう。
水やりには水の補給以外に、土の中の空気や養分を交換する大切な役割もありますので、十分な量の水をあげる必要があります。
・地植えの場合
地植えで育てる場合は基本的に水やりは不要です。
根が地中に広い範囲で広がり、そのうえ地中にはある程度雨も保水されているからです。
ただ、晴天の日が何日も続き土が乾いてしまうと水切れを起こし、その後の実つきが悪くなってしまうことがあります。
真夏に降雨がない日が続く場合には、土の状態をよく観察し、必要に応じて水をたっぷりあげましょう。
肥料
1年の間に元肥、追肥、お礼肥の3回に分けて施します。
一度に大量に肥料を施しても、根が傷むか、吸収されないうちに根の範囲外に流れ出てしまうからです。
2月に元肥として、ゆっくり効果の持続する有機質の肥料、5月に果実肥大を助ける追肥として化成肥料(チッソNーリン酸PーカリK=8-8-8のものなど)、10月に消耗した木に養分を与えて回復させるお礼肥として化成肥料を施すのが一般的です。
リンゴの育て方②:植え付け(11月~3月)
・鉢植え
鉢底に鉢底石を入れ、土を鉢の半分程度入れます。
そこに苗を根を広げながら入れ、さらに上から土をいれます。
この時、接ぎ木の部分(木根元のこぶ状にプクッと膨らんだ部分)を土に埋めてしまわないように、地上に出して植えるよう注意します。
根付くまでは支柱を立てて誘引してあげると良いでしょう。
最後に水をたっぷりやれば植え付けは終了です。
・露地植え
植え付けの1か月前くらいに直径70cm、深さ50cm程度の穴を掘り、堆肥、石灰、有機肥料を適量混ぜ、埋め戻します。
鉢植えと同じように支柱を立てて誘引し、たっぷりと水をやれば完成です。
リンゴの育て方③:人工受粉(4月〜)

ハチが花粉を運んだり、風で花粉が飛んで自然に受粉することもありますが、確実に受粉させ実をつけるためには人工的に授粉させる必要があります。
リンゴの花は5~7個程度の花がまとまって咲くのですが、中央の花が早く咲き、よい果実に成長することが多いです。
そのため、その周りの花を摘んで異なる品種の花にこすり付けて人工受粉をさせます。
1つの花で、10個程度の花を受粉させることができます。
リンゴの育て方④:摘果(5月中旬~下旬)

摘果は2ステップに分けて行います。
まず1回目は、1箇所からまとまってなっている複数の実のうち、一番大きい実を残して側果をすべて除きます。
次に、木全体で葉50枚程度に対し、果実が1つになるように摘果していきます。
葉の枚数は50枚となっていますが、1枚ずつ数えるのは大変なのでおおよそで大丈夫です。
1度数えたら、あとは感覚でさくさくと実を落としていきましょう。
リンゴの育て方⑤:袋掛け(摘果直後)
摘果が終わったら、病害虫から果実を守るため、きれいに着色させるために袋掛けをします。
収穫の1~3週間前に袋を外して日光に当てるときれいに着色します。
また、袋を早めに外すことで糖度が上がるという効果もあります。
リンゴの育て方⑥:収穫(8月~11月)

完全に色づいたら収穫適期です。
果実を支え、上に持ち上げるだけで収穫できます。
暖地では色づきが悪いため、色味の確認だけでなく味見もするとよいでしょう。
リンゴの育て方⑦:剪定(12月~3月)

リンゴの木が休眠期に入ったら翌年のために剪定作業をしておきます。
最初は慣れないかもしれませんが、やっていくうちに分かってくるので、根気強く続けていきましょう。
剪定する場所と順番は以下のとおりです。
①樹高を低くする
①交差している枝や、混み合った枝、枯れ枝、下向きになった枝など不要な枝を切る
②30cm~50cmの枝の先端を1/5〜1/4程度切り詰める
③上向きの枝を誘引する
リンゴの花芽(花が咲く芽)は前年に伸びた枝の全体に点在していますが、果実がつきやすいのは5cm未満の短い枝の先端についている花芽です。
前年に伸びた枝のうち、30cm~50cm程度の上向きの長い枝があったら斜めに誘引し、枝の先端を1/5〜1/4程度切り詰めます。
そうすることで短い枝を新たに発生させ、果実を収穫しやすい状態をつくっていきます。
また、枝は切ったところから枯れ込んだり、病原菌が入ってしまい生長に影響が出てしまう恐れがあります。
それらを予防するために、太い枝を切った場合には、切り口に癒合促進剤を塗るようにしましょう。
まとめ

リンゴの栽培は、管理作業は多いですが1つ1つの作業自体は簡単で、そんなに難しいものではありません。
また、一度植えれば何年も継続して収穫することができるのも大きな魅力です。友人や遠く離れた家族にプレゼントとして贈っても喜ばれそうですね。
ぜひ参考にして、リンゴ栽培にチャレンジしてみてください。