鉢植えで紅葉を楽しもう~おすすめ樹種と育て方~
紅葉する庭木を鉢植えで楽しんでみませんか?

もうすぐ紅葉の季節。庭で紅葉を楽しんでみたいけれど、お庭が小さくて植えられない、紅葉する木を庭に植えたけれどきれいに色付かないとお悩みの方、紅葉する木を鉢植えで育ててみるのはいかがでしょうか。
鉢植えは地植えと比較してお世話の手間は少し増えますが、紅葉を楽しむためのメンテナンスがしやすいので、お家できれいな紅葉が見られるかもしれませんよ。
今回は、鉢植えできれいな紅葉を楽しむための育て方と、おすすめの樹種をご紹介します。
この記事は、お忙しい方のために目次の見出しを追うだけでも内容を理解できるようにしています。
詳しく知りたい方は、このまま読み進めていただくか気になる小見出しをクリックしてみてください。
目次
紅葉がきれいに色づく3つの条件

まずは、紅葉がきれいに色づく条件を知っておきましょう。
日の光をたくさん浴びている
植物が光合成をすると糖が生産され、この糖が秋に赤い色素になります。そのため、光合成をたくさんすると真っ赤な紅葉が楽しめるようになります。
葉が焼けたり乾燥したりしていない
光合成をたくさんした方がいいと言っても、葉が焼けてしまったら紅葉は楽しめません。乾燥で葉がしおれてしまっても同様です。
葉焼けや乾燥をしていない、みずみずしい状態の葉だときれいに色づきます。
秋に日中と夜間の寒暖差が大きい
紅葉は最低気温8℃以下で始まり、最高気温と最低気温の差が15℃以上あるときれいに色づくと言われています。
きれいな紅葉を楽しむための鉢植えの育て方

紅葉がきれいに色づく条件を見てみると、都心の環境ではなかなか難しいのかもしれません。そこで、紅葉する庭木を鉢植えにして、紅葉がきれいに色づく条件に少しでも近づけてあげましょう。
葉焼けを防ぎつつ日に当てる

基本的に一年中屋外で管理し、なるべく西日の当たらない場所に置きましょう。
真夏は白の寒冷紗で直射日光をやわらげてあげると葉焼けしにくくなります。難しい場合は、午前中だけ日が当たる場所に移動するのも効果的です。
9月下旬頃日差しがやわらいできたら、寒冷紗を外したり、1日中日が当たる場所(できれば西日は避ける)に移動したりして、たっぷり日の光を浴びてもらいましょう。
乾燥させない

鉢植えの一番の欠点は乾燥しやすいこと。特に夏の晴れた日は乾燥しやすいので、朝晩2回、鉢底から水が出るまでたっぷりと水をかけてあげてください。水やりが間に合わない場合は、根元にバークチップなどを敷くと乾燥対策になりますよ。夕方~夜の水やりの時は葉にも水をかけてあげると、葉の乾燥と病虫害の予防になります。
照り返しを防ぐため、鉢を置く場所はできれば土の上がいいのですが、コンクリートやタイルの上に置く場合は、人工芝やすのこを広めに敷いてから鉢を置きましょう。
秋に寒暖差をつくる

都心では夜間も気温が下がりにくいため、あまり寒暖差ができません。そこで、鉢植えの周りだけでも夜に気温を下げる工夫をしてみましょう。
鉢は地面に直置きするよりも、すのこやブロックの上に置いた方が鉢の温度が下がりやすくなります。霜が降りる地域では、なるべく霜や夜露にあたる場所(鉢植えの上に屋根やひさしが無い場所)に置くといいですよ。
秋には1日1回の水やりで大丈夫な日が増えてきますので、なるべく夕方~夜に水やりをし、鉢の中だけでなく葉や鉢の周りの地面にも水をかけて冷やしてあげましょう。
その他

鉢植えは、植物が大きくなりすぎないようにするためと、根の状態を良くするために、剪定と植替えをする必要があります。植物の成長に合わせて、1~2年に1度、落葉期に作業を行ってください。
また、鉢植えは肥料不足になりやすいので、晩冬に少なめ(規定量の半分~2/3くらい)の固形肥料を与えます。梅雨以降は肥料を与えず、秋には肥料が切れている状態の方が紅葉しやすいですよ。
鉢植えで楽しめる紅葉がきれいな樹種
イロハモミジ(イロハカエデ)【落葉中木】

紅葉と言えばイロハモミジ!と言っても過言ではないくらい、メジャーな庭木ですよね。
成長があまり早くなく、葉も小ぶりで枝も繊細なイメージのイロハモミジは、モミジやカエデの仲間の中でもダントツで鉢植えにしやすい種類です。
最近は洋風のお庭で見かけることもあり、和風にも洋風にも合わせやすい庭木ですよ。
葉焼けしやすいので、真夏の葉焼け対策をしっかり行いましょう。
コマユミ【落葉低木】

コマユミは、世界三大紅葉樹の一つであるニシキギの仲間で、ニシキギ同様真っ赤な紅葉が魅力的。ニシキギよりも全体的に小ぶりで樹形も整いやすいので、鉢植え向きの樹種です。比較的葉焼けもしづらいので、紅葉がきれいに色づきやすいですよ。
秋から冬に付ける赤い実もかわいらしくて、秋が楽しみになる鉢植えができます。実には毒があるので、小さなお子さんやペットが口に入れないように気を付けてくださいね。
ドウダンツツジ【落葉低木】

ドウダンツツジの紅葉はオレンジがかった優しい赤色。明るい色合いの紅葉を楽しみたい方におすすめです。
紅葉だけでなく、春に咲く白い花や夏の明るい色の葉も魅力的。どんな雰囲気にも合わせやすく、季節を感じられる鉢植えになりますよ。
こんもりと横に成長するので、毎年花後に剪定や刈り込みをするか、大きめの鉢でのびのび育てるのがおすすめです。
ナンテン【常緑低木】

お正月のお飾りとしてよく使われるナンテンは「難を転ずる」縁起物です。あまり大きくならないので鉢植えで楽しんでいる方も多いのですが、葉焼けしやすく乾燥を嫌うので、夏は午前中だけ日が当たるような半日陰に置き、こまめに水やりしてください。
秋から冬に赤く紅葉しますが、常緑樹なので真冬でも葉が楽しめます。霜が降りると落葉することがありますが、乾燥させなければ春にまた葉が出てきますよ。落葉させたくない場合は、紅葉してから室内に移動させましょう。
さいごに

紅葉がきれいに色づく環境は、庭木にとっても心地よい、自然に近い環境なのではないかと私は思っています。鉢植えのお世話はちょっと大変ですが、庭木が心地よく過ごせて、人間もきれいな紅葉が見られたら、お互い嬉しいですよね。
家に紅葉する木の鉢植えがある方はぜひ、できそうなことからチャレンジしてみてください。これから始めたい方は冬に苗木を鉢に植えて、来年きれいな紅葉を見られるようにお世話してみてくださいね。
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この記事のライター
樹木医で、千葉県臨海地域での樹木管理経験を持つライターです。
現在は自然豊かな雪国で暮らしています。
個性豊かな植物たちを育てること、眺めることが楽しい!幸せ!癒される…
そんな気持ちが沢山の方に伝わったら嬉しいなと思っています。