長期で花が楽しめるサルスベリでお庭に彩りを!
太陽の下でひときわ輝くサルスベリの花の魅力

暑かった時期はもちろん、秋の気配を感じる9月になっても「この花、ずっと咲いてる!」と思う花木があることにお気付きですか?
それが、サルスベリです。
太陽が照りつける中、鮮やかな色の花が風に揺れる様子は私達の心をなごませてくれると同時に町並みのエッセンスにもなっています。
さらに、サルスベリは初夏から早秋という長い期間にわたって咲き続けるので、暑さで花が少なくなる時期に重宝されている花木です。
サルスベリは管理も楽で花の種類が多いのも魅力的です。
みなさんのお好みのサルスベリを探してお庭に迎えてみませんか。
この記事は、お忙しい方のために
目次の見出しを追うだけでも内容を理解できるようにしています。
詳しく知りたい方は、このまま読み進めていただくか
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目次
サルスベリの基本情報

科名:ミソハギ科
属名:サルスベリ属
分類:落葉中高木
その他の名前:百日紅(ひゃくじつこう)
和名:西洋サルスベリ「タスカローラ」
タスカローラとはアメリカ先住民部族名であり、西洋サルスベリがアメリカから入ってきたことに関係しています

花:伸びた枝の先にフリフリとした可愛らしい花が咲く
赤、ピンク、紫、白、縁取りがある2トーンなど色が豊富で濃淡も様々
植える場所:日向~半日陰(花を鑑賞したいなら日向がベスト)
サルスベリを植えるメリット
花の少ない暑い時期にお庭に彩りを添えてくれる

サルスベリの花は暑さに強いのが特徴です。
温暖化の影響で夏の暑さが異常になったここ数年の環境下でも、サルスベリは生き生きと咲き誇っています。
車の運転中や散歩のさいに意識して街中を見廻してみると、夏に強いヒマワリさえもカラカラになりシオレタ姿を見かけませんか。
そういう中、ここ数年は「夏の花と言えばサルスベリ!」と言うくらいにサルスベリが街中を彩り存在感を発揮しています。

さらに、嬉しいことにサルスベリの開花期間は約100日という長さなので約3ヶ月ほど花を楽しむことができます。
暑さが辛い時期に、エアコンの効いた室内で快適に過ごしながらお庭のサルスベリの花を楽しむことができるのです。
100日も咲き続けてくれるサルスベリなら、炎天下で植え替え作業などしなくても良いのでストレスフリーですよね。
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お庭や街中を彩ってくれるサルスベリ。
9月に入ってもまだまだ暑い時期は続きます。
緑一色になりがちなお庭が多い中で、みなさんの夏のお庭のポイントカラーとしてサルスベリを投入してみませんか。
四季を通じて楽しめる

サルスベリの魅力は花だけではありません。
サルスベリは6月下旬あたりから約100日咲き続けるお花が魅力的ですが、秋以降は紅葉が楽しめます。
花が終わると11月あたりから葉の色が次第に黄色〜赤に染まり始めるのです。
寂しくなりつつお庭に赤色のアクセントが入り、年末のクリスマスに向けて気分が上がりそうですよね。
花が少なくなったり紅葉の葉が落葉してしまうと、次第に目に入ってくるサルスベリの幹。
ここでさらに、サルスベリの幹肌の美しさに気が付かされるでしょう。
ネーミングの由来にもなっているくらいに、サルスベリの幹の樹枝は白くなめらかな手触りで「猿もすべるくらいに」ツルツルしている幹肌が特徴的です。
美しい花や紅葉の時期には目立つ事がなく地味な存在のサルスベリの幹ですが、冬は冬ならではのサルスベリの鑑賞方法があるのです。

そうして白く美しい幹肌を眺めている間に春になれば新緑の季節です。
このように、一年を通して楽しめるのがサルスベリなのです。
育てる環境によって大きさを選べる

サルスベリというと放っておけば5m を超えて大きくなることもあります。
しかし、お庭に取り入れるとなると管理が大変ですしハードルが高いですよね。
植えるエリアによっても違いますが、現代の住宅事情などをかんがえるとコンパクトに育てたい方がほとんどではないでしょうか。

そんな時に、矮性種(わせいしゅ)のサルスベリはいかがですか。
矮性種とは、遺伝的なものだったり薬剤処理によって人為的に小さく作られた種類の動植物のことを言います。
限られたスペースで栽培可能なので、日本の住宅事情や高層住宅の普及とともに人気を集めるようになりました。

サルスベリの矮性種であれば2m前後になるのでトライしやすいですよね。
画像のように剪定で思い切って低くすることも可能ですよ。

また、筆者のご近所さんの敷地前の道路には、お庭にある同じ色のサルスベリがひっそりと咲いていました。
種が飛んだのでしょうか。
高さ30cmほどのサルスベリは周辺の雑草のお花とも馴染んでいます。
道路脇なのですが「せっかくなのでこのままの背丈で調整しながら楽しみたい。」とお話しされていました。
サルスベリには、このような想定外の楽しみもあるようです。
簡単な管理

サルスベリの土選びや肥料は、園芸ネットや雑誌からの情報を見て選べば大丈夫です。
情報内容に多少の違いはあっても神経質に考える必要はありません。
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また、サルスベリは自然樹形といって自然に形が整うので多少の剪定の失敗をしても気にすることもないのです。
剪定は基本を学びながらトライして感覚を学んでいくしかないので、自然樹形のサルスベリでチャレンジするのは良いかもしれません。
初心者の方からお手入れに時間をかけたくない方まで、お庭に取り入れやすいのがサルスベリなのです。
サルスベリの育て方
1年の流れ

4~5月に土を作り苗を植える
7~10月に花が咲く
11月から紅葉
12月以降に落葉
12~3月に枝を剪定する
2月に肥料を与える
土づくり

花用の培養土、または培養土に赤玉土と腐葉土を混ぜ合わせた土が一般的です。

赤玉土は肥料成分がないため虫や菌が寄り付かない清潔な土で、水はけ、水もち、肥料もちが良い土でガーデニングには欠かせない基本用土の1つです。
根から水や空気を吸って生きている植物は、土の粒と粒の間に水と空気が必要なのですが、赤玉土は粒同士の隙間に水や空気がたまりやすいので植物の根が吸収しやすい構造にしてくれます。

腐葉土は、肥料成分のない赤玉土と混ぜることで土の中の有機物を分解し微生物を増加させます。
それによって土は病原菌の侵入から守られて栄養分を蓄えることができるのです。
余ってしまった場合には、土壌の乾燥や急激な温度変化、雑草などを防ぐマルチング材としての使用が可能です。
注意点として、植えるエリアの土の状態は事前に確認しましょう。
サルスベリは水はけの悪い用土に植えると病気になったり花が咲かなくなります。
植える時期に注意

サルスベリを植える時期は4〜5月が適しています。
サルスベリも含めた一般的な落葉樹は4〜5月と12〜3月の年2回の植え付けが可能ですが、サルスベリに限っては12〜3月の植え付けは向いていません。
間違って植えてしまうと春以降に芽が出ないことがあるので気をつけましょう。
また、日当たりが悪いと花が咲きにくいので日当たりの良いエリアに植えることで楽しみは倍増するでしょう。
水やり

植え付け後1年経っていない株は、鉢植え地植えともに表土が乾いたら水やりすることを心がけましょう。
地植えした2年目以降のサルスベリは降雨のみで大丈夫ですが、暑い時期にカラカラ天気が続くようなときは朝夕の涼しい時間に株元中心に水を与えてください。
鉢植えのサルスベリに関しては、土が乾いたら水やりを忘れないようにしましょう。
肥料

1月:寒肥(かんごえ)
サルスベリの今後の1年間の成長を決める大事な肥料なので忘れずに与えます。
この時期は落葉樹のサルスベリは冬に休眠期に入るため、肥料焼けしにくく春先までにゆっくりと分解される緩効性肥料がオススメです。
9月にお礼肥(おれいごえ)をすることが記されている情報もありますが、余裕がある場合で良いでしょう。
忘れていたからと言ってサルスベリの成長を大きく左右することはありません。
剪定方法

サルスベリの剪定時期は12〜3月までです。
特にサルスベリの場合には、3月ギリギリでも大丈夫ですよ。
サルスベリの花は春から伸び出す新梢(新しい枝)だけに咲くので、古い枝は積極的に剪定しましょう。
剪定のコツとして、枯れ枝や枯葉、細い枝を根元から切ります。
次に、内側に伸びて込み合いそうな不要な枝を切っていきましょう。
初めのうちは積極的にハサミを入れていくのに勇気がいると思いますが、数年後には感覚がつかめると思います。
サルスベリの種類
ペパーミントレース

ペパーミントレースは、花の中央が赤〜濃いピンク色で白の縁取りが特徴的なサルスベリです。
花穂全体がヒラヒラとしたレース模様になっていて大輪でもあることから、遠くからでも花房がよく目立ちます。
このヒラヒラした花びらと2色の華やかさは、夏祭りで見かける金魚を連想させてくれて夏の庭の主役にふさわしい美しさです。
別名に「夏祭り」とあるのも納得ですよね。

また、ペパーミントレースは一才性という性質があり若木の時から花を咲かせます。
*一才:花や実がつきやすい、あるいは若木のうちから花や実がつくという性質のことを言います。
お庭に植えた年からお花が楽しめるなんて、初心者に優しいペパーミントレースです。
樹高:3m
幅:2m
開花期:6月下旬~9月頃(早生)
栽培適地:多少寒さに弱いので南東北地方以南
ディアパープル

ディアパープルは鮮やかな紫色のサルスベリで、鮮やかな花房が大きく見ごたえがあります。
また、赤味系が多いサルスベリの中でディアパープルは青味系に近い色なので、暑い時期でも爽やかな雰囲気を作ってくれますよ。

ディアパープルは神奈川県農業試験場で育成された品種になり、強い樹勢と整った樹形が特徴的で端正に育つ品種です。
うどんこ病に強く、植えた後は薬剤散布の必要もないので管理が楽でしょう。
さらに、ディアパープルは成長が早いシマサルスベリ系の品種になるので、剪定などで調整をすればシンボルツリー、サブツリーのどちらでも楽しむことができます。
周辺の植栽などの成長に合わせて高さを変えて楽しむのも良いですよね。
もちろん、剪定を間違えてもディアパープルは成長が早いので直ぐに修正してくれます。
また、花期は紫、秋の紅葉時期は赤〜黄色と一年を通して様々な彩りを鑑賞できるのがディアパープルを取り入れるメリットでもあるでしょう。
樹高:3m
幅:3~4m
開花期:6月下旬~9月頃(早生)
栽培適地:南東北地方以南
ブラックパール・ルージュ

ブラックパールシリーズは、これまでのサルスベリにはないブラックプランツ(黒葉)のサルスベリの新品種になります。
ここ数年のブラックプランツの流行もあり、これまでのサルスベリでは満足できない方から熱い視線を集めています。

その中でもブラックパール・ルージュは深紅の花と黒葉の品種で、シックな葉色と鮮やかな花色の対比が美しくクールな印象の品種です。
花の咲き始めはピンクがかっているのですが徐々に赤くなっていきます。
背景がグリーンの中でのブラックパール・ルージュは映えますよね。
また、ブラックパール・ルージュはうどん粉病に耐性を持っているので育てやすい品種です。
しかし、まだまだ市場には頻繁に出回らないのでネットなどで見つけたら早めに購入することをオススメいたします。
シンボルツリー、庭木、鉢植えなど育て方もバリエーションが豊富です。
樹高:2m
開花期:7~9月
栽培適地:日本全国(-17℃まで耐えられます)
樹形:球型
ブラックパール・レッド

ブラックパール・レッドは、ブラックパールルージュと同じ黒葉シリーズで更に赤味が強く格式高い雰囲気があるサルスベリです。
赤色の花と黒葉の二色の組み合わせは、重厚感のある雰囲気作りやお庭のポイントとして投入するのに向いているでしょう。
咲き始めの花の色が白〜ピンク色なので驚かれる方もいると思いますが、徐々に赤くなっていきますのでご安心してください。

また、1つ前でご紹介したブラックパールルージュの樹形が球型になるのに対してブラックパールレッドは直立性になります。
同じシリーズでも数年後の樹形に違いがあるので、数年後の形や植えるエリアを考えたうえで品種を選びましょう。
ブラックパールレッドもうどん粉病に耐性を持ち育てやすい品種であり、剪定次第でシンボルツリー、庭木、鉢植えなどバリエーションが豊かです。
マイナス17度まで耐えられる耐寒性も心強いですね。
樹高:2m
幅:2m
開花期:7~9月
栽培適地:日本全国(-17℃まで耐えられます)
管理が楽で開花期間が長いサルスベリをお庭に!

サルスベリは初心者さんにとってもベテランガーデナーにとっても管理が楽な花木でしたね。
品種や花の色も様々で自分好みのサルスベリを見つける楽しみもあります。
来年春に苗木が出回るまで植える場所や品種選びをしておくと良いかもしれません。
サルスベリはまだまだ街並みを彩っています。
散歩しながらイメージを膨らませておきましょう。
この記事のライター
九州在住のガーデニングライター
家作りをきっかけに庭管理を始めて12年。
関わってきた時間の分だけ、
植物の声が聞こえるようになりました。
子育てと似ていて上手くいかなかったり癒されたり!
難しく考えないで、
気になった植物に寄り添ってみてくださいね☆彡