玄関アプローチの素材選び|使いやすさとデザイン・価格帯を徹底解説
玄関アプローチ設計時のポイント

家を出る時、家に帰る時、毎日必ず家族が通る玄関アプローチは、外構の中で最も使用頻度の高いものです。来客がまず目にするのも玄関アプローチです。そのためデザインはもちろん、使い勝手についても良く検討して、設計を進めていくようにしましょう。家族の状況によってもおすすめできる素材が変わってきますので、以下のポイントを確認してから玄関アプローチの検討に入ります。
・敷地外から玄関までの高低差はどの程度か
・ベビーカーや車いすを使っているか、使う予定はあるか
・歩行に介助の必要がある家族はいるか
・建物の見た目や家族の好きなテイスト
玄関アプローチを見ると、なんとなく家主の性格や趣味が感じられるものです。まさに家の顔と言える玄関アプローチ、家族みんなのお気に入りになるようなものにしましょう!
この記事は、お忙しい方のために
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目次
アプローチ素材①コンクリート 価格帯★★☆☆☆

駐車場など、耐久性が必要な部分によく使われる素材で、玄関アプローチでも使うことができます。無機質なイメージのコンクリートは、すっきりとまとまり、モダンテイストやシンプルテイストにぴったりです。スロープや階段なども作りやすいので、高低差がある物件や車いすを使う家族がいる場合でも、様々なデザインがしやすいです。
コンクリート仕上げ①刷毛引き

コンクリート表面を刷毛で引き、筋模様をつけたものです。雨の日に滑りにくいため、最もよく使われる仕上げです。凹凸があるため、土や泥が付着しやすいですが、歩行に不安のある家族がいる場合は滑りにくさを優先するのが良いでしょう。
コンクリート仕上げ②金ゴテ仕上げ

コンクリート表面を金ゴテで平に均した仕上げです。表面が大変なめらかで、コンクリートの無機質な素材感が引き立ちます。コンクリートの素材感が好きな方は、金ゴテ仕上げに魅力を感じるかと思いますが、雨の日には滑りやすい難点があります。ただ掃除はしやすく、きれいな状態を保ちやすいです。
コンクリート仕上げ③洗い出し 価格帯★★★☆☆

コンクリートが完全に乾ききる前に、コンクリート表面に水を流し、骨材である砂利を露出させる仕上げです。コンクリートの無機質な印象とは異なる仕上げです。化粧砂利を使うことで、色や雰囲気を変えることができるので、建物の雰囲気に合わせてコーディネートできます。刷毛引き仕上げや金ゴテ仕上げよりも工程が増えるので、価格は通常のコンクリートよりも高くなります。
アプローチ素材②自然石 価格帯★★★★★

自然石は玄関アプローチに選ばれる方が多く、人気の高い素材です。選ぶ石材や石の貼り方によって印象が大きく異なります。代表的な石材と石の貼り方をご紹介します。
御影石

昔からよく使われている石材で、花崗岩を加工したものを御影石といいます。ベージュっぽい色をした錆やグレー系のものもあります。御影石というと、和風庭園を想像するかもしれませんが、洋風のお宅にもよく合います。硬く風化に強いため、毎日使うアプローチにも安心して使えます。石の中では価格は手ごろな部類です。
クォーツストーン

石英岩の石材をクォーツストーンと言います。石英質がキラキラと光り、華やかな印象を与えます。イエロー系、ピンク系、ホワイト系など色も様々で、人気のある石材です。どの色も明るい色味をしており、洋風なお宅におすすめです。石の種類にもよりますが、比較的安価な石材です。
アンティーク石材

ヨーロッパの石畳等に使われていた石材を指します。アンティークならではの風合いが他には無い大きな魅力です。存在感のある石材で、外構の中でも主役となる素材です。希少価値があるため、御影石やクォーツストーンよりも価格が高いので、予算によっては広い範囲に使うのではなくポイント使いするのも良いでしょう。表面がデコボコした形をしているので、車いすを使用するご家族がいる場合は注意が必要です。
自然石の貼り方①方形

タイルのように四角く加工された石材を使った貼り方です。整った上品な印象になります。大きさの違う方形石を組み合わせた方形乱貼りという貼り方もあります。石材の選び方によって、和風の庭にも洋風の庭にもよく合います。
自然石の貼り方②乱貼り

きれいに加工された石材ではなく、採取したままの様々な形の石を組み合わせた貼り方です。まさに自然石らしい雰囲気となり、華やかで目を引くアプローチとなります。方形では難しい曲線デザインにも対応しやすいところもメリットの一つです。同じ石材を選んでも、貼り方で印象が大きく変わります。どんなイメージにしたいかを考えて選びましょう。
アプローチ素材③レンガ 価格帯★★★★★

建築材として古い歴史を持つレンガ。敷いて使えば舗装材に、積んで使えば壁や塀を作ることもできる万能な素材です。自然石でも同様の使い方ができますが、建築材として作られているだけあり、寸法がきちんとしているので応用しやすいです。そのため、左官壁の笠置や階段の段鼻など外構の要所要所で使用し、全体を一体感のある設計にすることができます。
レンガというと、赤茶色の洋風でかわいらしいイメージがありますが、黒~灰色のレンガもあります。和風やモダンにも使えるクールな印象の魅力的なレンガです。建物の雰囲気や作りたいイメージによって、様々な種類のレンガから選べます。
アンティークレンガ

ヨーロッパで建物を解体する際に出る、使われていたレンガを再利用したものです。角が割れていたり、色ムラが大きかったりと、アンティークならではの雰囲気が魅力です。とても存在感のある素材で、アンティークレンガを使うと雰囲気がガラッと変わります。シャビーなお庭づくりをしたい方にはおすすめです。希少価値があるため、価格は普通のレンガより高いです。
アプローチ素材④タイル 価格帯★★★☆☆

玄関ポーチにタイルを使用されている方は多いのではないでしょうか。アプローチでもタイルを使用することができます。工業製品であるタイルは、使用状況に応じた様々な種類のものがあります。アプローチでの使用の場合は、屋外使用可能で滑りにくいものを選びましょう。レンガ同様、決まった寸法で作られているため、応用しやすく、階段やスロープ等にも使いやすいので、高低差の大きいアプローチにおすすめです。価格は自然石やレンガよりも一般的に安いです。表面がフラットに仕上がるので、車いすやベビーカーでも移動しやすく安心です。
アプローチ素材⑤インターロッキングブロック 価格帯★★☆☆☆

公共の舗装材としてよく使用されているインターロッキングブロックですが、一般家庭でも使えます。見た目はレンガのようにも見えますが、施工方法が違います。レンガ舗装の場合は、コンクリートで下地を作り、そこにモルタルを使ってレンガを並べていきます。インターロッキングブロックはコンクリートが必要無く、砕石と砂が下地となり、目地にも砂を充填します。コンクリートやモルタルが必要無いので、施工費が抑えられるのが大きな利点です。ブロック同士がかみ合う力によって荷重が分散するようになっているため、下地にコンクリートが無くても、きちんとした舗装となります。透水性が高いので、雨の日も滑りにくいです。以前はインターロッキングブロックというと、デザイン性に乏しいイメージでしたが、最近は様々なデザインが増えているので、外構でも活躍しています。
アプローチ素材⑥枕木 価格帯★☆☆☆☆

線路のレールの下に敷かれている大きな材木を枕木と言います。外構で使われる枕木は、実際に線路で使われていた中古枕木と、新品の枕木があります。中古のものは独特の趣があり魅力的ですが、新品のものよりやや価格が高いです。どちらも天然の木材なので、いずれ腐って交換が必要になります。使用環境にもよりますが、大体10年前後で交換することになるでしょう。施工が簡易なため価格は抑えられます。ナチュラルテイストがお好きな方におすすめで、植物ともよく合います。表面がガタガタな仕上がりになるので車いすの使用には向いていません。
まとめ
アプローチに使える材料はたくさんありますが、価格や使用感、デザインなど様々です。どの素材を使うかで、印象が大きく変わるものです。家族みんなが毎日使う場所なので、お気に入りのもので仕上げたいですね。ぜひこの記事をご参考に、素敵なアプローチ素材を見つけてください。
この記事のライター
エノコロ庭園設計室(https://www.enokoro-teien.com)にて静岡県を中心に、野草や自然素材を用いた造園設計施工を行っています。
樹木医、一級造園施工管理技士。